北欧の静けさと澄んだ空気に包まれた国フィンランド。サウナやムーミンで知られるこの国には、ユネスコ世界遺産に登録された貴重な文化・自然の宝庫が点在しています。
この記事ではフィンランド旅行でぜひ訪れたい世界遺産を厳選してご紹介します。旅行計画中の方はもちろん「次はどこへ行こう?」と旅先を探している方にもおすすめの内容です。
スオメンリンナ要塞

ヘルシンキから15分!歴史と自然が共存する“海に浮かぶ要塞都市”
スオメンリンナ要塞は、フィンランドの首都ヘルシンキの沖合約1.5kmに位置する6つの島にまたがる海上要塞です。18世紀にスウェーデンがロシアの南下を防ぐために建設し、その後ロシア統治時代を経て現在はフィンランドが管理しています。
1991年にユネスコの文化遺産に登録され、「バルト海の守護神」とも称されるこの歴史的防衛拠点の魅力は単なる軍事遺産にとどまりません。現在も約800人が生活する“生きた要塞”として機能し、カフェ、ギャラリー、博物館、さらには海辺のピクニックエリアなどが整備されています。
石造りの通路や砲台跡を歩くと、まるで映画のワンシーンに迷い込んだような気分に。歴史ファンはもちろん、家族連れやカップル、ソロ旅にもぴったりのスポットです。
🚢 アクセス情報:気軽に行ける「世界遺産」
- 出発地:ヘルシンキ中心部(マーケット広場)
- フェリー所要時間:約15分
- ヘルシンキ交通局(HSL)の公共フェリーを利用すれば、トラムやバスと同様のチケットで乗船可能。サステナブルな移動手段としても注目されています。
- 夏季には水上バスの運航もあり、海風を感じながらのクルーズ気分も味わえます。
🧭 観光のポイント:何を見る?どう歩く?
- スオメンリンナ博物館:
要塞の歴史と建設背景を学べる - 潜水艦ヴェシッコ:
旧フィンランド海軍の本物の潜水艦を見学 - キングスゲート(King’s Gate):
記念撮影にぴったりなランドマーク - 砲台と地下通路:
探検気分が味わえるスポット
島内は広いため公式サイトからマップを事前ダウンロードしておくと便利。ガイドツアーもあり、一部では日本語ガイドも行われています。
🏞 ついでに立ち寄れるおすすめスポット
- ヘルシンキ大聖堂:
白亜の外観が美しい、ヘルシンキのシンボル - エスプラナーディ通り:
おしゃれなカフェやショップが並ぶ - カウッパトリ(マーケット広場):
サーモンスープやベリーが楽しめる露店が人気
😂 スオメンリンナあるある:迷子注意報!
スオメンリンナを訪れた多くの旅行者が経験するのが、「どこにいるか分からなくなる」現象。島は広く通路も複雑なので、Googleマップは常にオンにしておくのがベスト。
またフェリーの最終便の時間は要確認。うっかり乗り遅れると、島で一夜を過ごす羽目に…!?
❓ よくある質問(Q&A)
Q1:スオメンリンナって冬でも行ける?
A1:はい、通年訪問可能です。
フェリーも年中運航していますが、冬のバルト海は風が強く体感温度も低いため、防寒対策は必須。雪景色の要塞も幻想的で、写真映えしますよ!
Q2:食事はできますか?
A2:できます。
島内には複数のカフェやレストランがあり、地元の素材を使ったフィンランド料理や焼きたてパンが楽しめます。特に「Café Silo」は景色と雰囲気がよく人気です。
サンマルラハデンマキ慕群

静寂の森に眠る、北欧青銅器時代の謎めいた聖域
フィンランド南西部のラウマ近郊にある「サンマルラハデンマキ慕群」は、紀元前1500〜500年頃の北欧青銅器時代の墓地遺跡。1999年にユネスコの世界文化遺産に登録された広大な松林に囲まれた丘の上には、大小36基の石の墳墓が点在しています。
なかでも「教会の広場」と呼ばれる巨大な石塚や「長方形墳墓」などは特徴的な形状をしており、考古学的にも価値が高いとされています。
観光地というよりも静かでスピリチュアルな空間で、森の中を歩きながら古代の人々の営みに想いを馳せる時間はまさに“感じる旅”の醍醐味です。
🚗 アクセス情報
- 最寄都市:ラウマ(Rauma)
- ラウマ中心部から車で約15分。
- ヘルシンキからラウマまでは車で約3時間半、またはバスで4時間前後
- 公共交通ではアクセスしづらいため、レンタカーの利用がおすすめ。
🧭 ついでに立ち寄れるおすすめスポット
- ラウマ旧市街(Vanha Rauma):
木造のカラフルな家々が並ぶ町並み - キルッタハリュー展望台:
ラウマ郊外の森と湖が一望できる穴場スポット
😂 サンマルラハデンマキあるある
「ガイドなしで行くと“ただの石”に見えてしまう」
考古学的な背景を知らずに行くと、見た目が地味すぎて何がすごいのか分からないという声も。公式ガイドや説明アプリを事前にチェックすると満足度がUP!
❓ よくある質問(Q&A)
Q1:墳墓って、怖い場所ではないの?
A1:いいえ、むしろ癒しの空間です。
神秘的な雰囲気はありますが、恐怖というよりも、森の中で静かに歴史に触れる“心洗われる”ような感覚です。
Q2:小さい子供連れでも大丈夫?
A2:OKですが注意点も。
道は舗装されていないので、ベビーカーよりは抱っこひもがおすすめです。虫よけ対策も忘れずに!
ペタヤヴェシの古教会

木の香りに包まれる、北欧ルーテル建築の傑作
中央フィンランドの小さな町ペタヤヴェシに佇むこの古教会は、1763年から1765年にかけて地元の農民たちによって建てられた木造のルーテル教会。1994年にユネスコの世界文化遺産に登録され、北欧の伝統木工技術と宗教建築の融合を今に伝えています。
外観は素朴な木造の教会ながら、中に入るとその芸術性に驚かされます。アーチ状の天井、木製の彫刻、自然光を活かした設計が特徴で、質素な中にも神聖さと温もりが感じられる空間です。
特筆すべきは、釘を一切使わず木組みだけで作られている構造。長年の風雪に耐えてきたその技術は、職人たちの知恵と信仰の深さを物語っています。
🚗 アクセス情報
- 最寄都市:ユヴァスキュラ
- ユヴァスキュラから車で約30分。定期バスあり
- ヘルシンキ→ユヴァスキュラは電車で約3時間
🧭 ついでに立ち寄れるおすすめスポット
- アルヴァ・アールト博物館:
近代建築の巨匠アールトの作品を展示 - トーヴェ湖:
地元民に人気の散歩・ピクニックスポット
😂 ペタヤヴェシあるある
「閉まっていて入れなかった…」——
開館日は夏季中心(6月〜8月)なので、必ず事前に公式サイトで開館日を確認しましょう!
❓ よくある質問(Q&A)
Q1:教会の中に入れますか?
A1:夏季のみ内部見学が可能です。
冬季は閉鎖されていることが多いため、訪問時期を調整しましょう。
Q2:宗教的な知識がなくても楽しめますか?
A2:全く問題ありません。
建築・歴史・自然美を楽しむだけでも大きな価値があります。教会のガイドパンフレット(英語)もあります。
ラウマ旧市街

おとぎ話の中に迷い込んだような、フィンランド最古の木造市街地
「ラウマ旧市街」はフィンランド南西部の港町ラウマにある中世から続く木造の街並みで、1991年に世界文化遺産に登録されました。現存する木造建築は18〜19世紀のもので、約600棟が保存・利用されている“生きた町”です。
石畳の小道、色とりどりの木の家、レースのカーテンが揺れる窓辺……そのすべてがノスタルジックで温かみのある風景をつくりだしています。手工芸とレース編みの町として栄え、今でも伝統工芸品の店や個人経営のカフェやブティックが並びます。
観光客にもローカルにも愛されるラウマ旧市街は、「フィンランドらしさ」を体感できる場所の一つ。大都市にはない、穏やかな時間の流れを味わってみてください。
🚗 アクセス情報
- 最寄都市:ラウマ
- ヘルシンキから車で約3時間半、バスで4時間
- トゥルクからは車で約1時間半
🧭 ついでに立ち寄れるおすすめスポット
- サンマルラハデンマキ慕群(車で15分)
- ラウマ・レース博物館:
レース編みの歴史に触れられるユニークな展示
😂 ラウマ旧市街あるある
「店の看板がフィンランド語オンリーで一瞬ひるむ」——
でも大丈夫、英語はほとんど通じますし、店員さんもとても親切です!
❓ よくある質問(Q&A)
Q1:観光地だけど住んでる人がいるの?
A1:はい、約800人以上が暮らしています。
そのため観光マナーも大切にしましょう。写真撮影の際は、住居のプライバシーにも配慮を。
Q2:冬でも楽しめますか?
A2:もちろん楽しめます。
雪化粧をした木造の家々は特に美しく、冬のラウマはまるで映画のワンシーンのようです。
ヴェルラの砕木バルブ・板紙工場

産業遺産が語る、フィンランドの近代化と労働者の生活
「ヴェルラの砕木バルブ・板紙工場」は、19世紀末から20世紀初頭にかけて操業していた紙パルプ工場で、フィンランドの近代化を支えた産業遺産として、1996年に世界文化遺産に登録されました。
興味深いのは当時の労働者の暮らしぶりや、村全体がいかに“工場を中心とした共同体”として機能していたかがわかる点です。工場見学のあとには、川沿いの遊歩道や、併設されたカフェ&ショップも楽しめます。
🚗 アクセス情報
- 最寄都市:コウヴォラ
- コウヴォラから車で約30分
- ヘルシンキからコウヴォラまでは電車で約1時間半(VR鉄道)、そこからレンタカーまたはタクシーが便利
🧭 ついでに立ち寄れるおすすめスポット
- レポヴェシ国立公園:
絶景の吊り橋と森のハイキングコースで有名 - マンズィ湖周辺のカフェ:
地元のベリーを使ったタルトが絶品!
😂 ヴェルラあるある
「機械の説明が細かすぎて頭がパンク」——
歴史好きにはたまらないけど、音声ガイドや映像資料を活用すると理解しやすいです。
❓ よくある質問(Q&A)
Q1:子供連れでも楽しめますか?
A1:楽しめます!
体験型の展示や映像、広々とした屋外エリアがあるので、お子さんも飽きずに過ごせます。
Q2:工場見学は予約が必要ですか?
A2:個人なら予約不要。
ただし夏季は混み合うため事前のチケット購入やガイドツアーの予約がおすすめです。
まとめ|フィンランドで心に残る旅を!
フィンランドというと「サウナ」「ムーミン」「オーロラ」などのイメージが先行しがちですが、実は豊かな歴史と文化に根ざした“世界遺産の宝庫”でもあります。
今回ご紹介した5つの世界遺産は、それぞれに異なる魅力を持ち、旅のスタイルに合わせて選ぶことができます。
- スオメンリンナ要塞:アクセス抜群!ヘルシンキから日帰りで楽しめる要塞都市
- サンマルラハデンマキ慕群:静寂な森の中で古代の死生観に触れる神秘体験
- ペタヤヴェシの古教会:北欧木造建築の粋が詰まった“癒しの教会”
- ラウマ旧市街:現地の暮らしが感じられる、色とりどりの木造の町並み
- ヴェルラの砕木バルブ・板紙工場:産業の発展と人々の営みを体験できる学びの場所
どのスポットも、観光地としての整備だけでなく、「そこに息づく歴史と人々の暮らし」が感じられるのが大きな特徴です。
特に都市部から離れた場所にある世界遺産には、フィンランド本来の自然や地域文化に深く触れられる魅力があります。
🌿 旅のアドバイス
- 訪問時期:6月〜8月の夏がベスト。各施設の開館日・時間は事前に要確認。
- 移動手段:都市間は鉄道、郊外はレンタカーが便利。事前予約がおすすめ。
- おすすめスタイル:世界遺産+周辺観光を組み合わせた2〜3泊の周遊コースが理想的。
📌 モデルルート例
ヘルシンキ(スオメンリンナ)↓
ラウマ(サンマルラハデンマキ・旧市街)↓
ユヴァスキュラ(ペタヤヴェシ)↓
コウヴォラ(ヴェルラ)
このように、フィンランドの世界遺産は、観光の中心ではないからこそ、旅人の心に深く残る“静かな感動”を与えてくれます。
あえてメジャーな観光地から一歩踏み出し、自分だけの特別な体験を探しに行きませんか?
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