国土の4分の1が海面よりも低いと云われている水の王国オランダ。この王国は正確には4つの国で構成されており、それぞれ『オランダ』『アルバ』『キュラソー』『マールテン』の4カ国で成り立っています。今回はそんなオランダの中でも時間がゆったりと流れる世界遺産をご紹介していきます。
リートフェルトのシュレーダーハウス

オランダのユトレヒト市内にあるこの建築物は、オランダ人の建築家であるヘリット・リートフェルトによって設計された邸宅です。これは夫を亡くしたシュレーダー夫人とその子供たちのために建てられた家で、デ・ステイル建築を代表する作品として2000年に『リートフェルトのシュレーターハウス』として世界遺産に登録されました。
シュレーダー夫人は1985年に亡くなるまで、このリートフェルトが設計した邸宅で暮らしていました。約100年も前の建築物とは思えないその近代的なデザインは、訪れる観光客を驚かせ続けています。
スホクラントとその周辺

首都アムステルダムから北東60kmに位置するスホクラント。ここには先史時代から人間が暮らしていたとされていますが、海水の浸食によって19世紀には破棄された土地でした。しかし1932年に大堤防が建設されたことにより次第に埋め立てが進んでいき、水没していたこの地は再び農業用地へと変わっていきました。
世界遺産となった理由は、先史時代から鉄器時代まで遺跡が点在していること。それに加えて土地の低いオランダにおいてこの地はオランダ人と水との戦いの歴史であり、その農業景観は20世紀における人類の偉業として評価された点が主な理由となっています。
キュソラー島の港町ウィレムスタット市内の歴史地区

カリブ海の南部に浮かぶキュソラー島。ここはオランダ王国を構成する4つの国のひとつであり、その首都ウィレムスタットの中心街の町並みは『キュソラー島の港町ウィレムスタット市内の歴史地区』として1997年に世界遺産に登録されています。この街の特徴といえばやはりそのカラフルな街並みでしょうか。まるで絵の具で彩られたかのようなパステルカラーな街並み。そのフォトジェニックな光景は多くの観光客を楽しませてくれています。
アムステルダムのシンゲル運河内の17世紀の環状運河地区

『北のヴェネツィア』とも呼ばれるオランダの首都アムステルダム。この街には100km以上の運河に約90もの島々、そして1500余りの橋が架けられていて、空から見ると扇型のように運河が広がっています。代表的な運河は、シンゲル運河・ヘーレン運河・ケイザー運河・プリンセン運河などが挙げられ、一番外側を囲っているのがシンゲル運河です。
16世紀末から17世紀初頭にかけて建設されたこれらの運河は『アムステルダムのシンゲル運河内の17世紀の環状運河地区』として2010年に世界遺産に登録されました。街中を流れる運河に中世の香り漂う街並みは、そこに行き交う人々の情景と相まって非常にフォトジェニックな光景に映ります。
キンデルダイクーエルスハウトの風車群

ロッテルダムの南東13kmに位置するキンデルダイク。この村にある風車網は『キンデルダイク=エルスハウトの風車群』として1997年に世界遺産に登録されました。これは1740年頃に灌漑設備用に造られたもので、国土の多くが海面よりも低いオランダにとって無くてはならない重要な排水システムでした。
オランダの歴史は水との戦いの歴史でもあり、『世界は神が創ったが、オランダはオランダ人が作った』とも云われる所以です。300年近く前の景観が今でも残されている貴重な歴史遺産です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。古くから水と戦い、あるいは水と共存して発展してきたオランダ。現存するオランダ国内の風車や運河はまさにこの国の歴史をそのまま今に伝えてくれているようでした。以上で時間がゆったりと流れるオランダの地で訪れたい世界遺産のご紹介を終わります。お読みいただきありがとうございました。
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