世界各国のニートの割合を調べてみた結果

アジア

近年、各国で若者のニート問題が深刻化しています。ニートとは、学校にも通わず、仕事もせず、職業訓練も受けていない若者を指します。経済状況や社会の仕組みによって、国ごとにニートの割合には大きな差があります。今回はそんな世界各国のニートの割合を調べ、それぞれの背景や要因について考察してみました。


ニートの割合が高い国・低い国

世界の各国でニートの割合を比較してみると、国や地域によって大きな違いがあります。以下は、OECD(経済協力開発機構)やILO(国際労働機関)などの統計データをもとに、いくつかの国のニート率をまとめたものです。

主な国のニート率(15~29歳, 2023年)

国名ニート率(%)
日本10.5%
韓国18.1%
アメリカ12.4%
イギリス11.2%
フランス13.7%
ドイツ8.5%
イタリア23.1%
スペイン19.6%
中国14.8%
インド27.5%

このデータを見ると、イタリアやスペイン、インドなどではニートの割合が非常に高いことがわかります。一方で、日本やドイツでは比較的低い水準にあります。しかし、日本でも10%を超えており、決して無視できる数字ではありません。


ニート率が高い国の特徴と要因

ニート率が高い国にはいくつかの共通点があります。

1. 経済状況が不安定

イタリアやスペインでは、特に若年層の失業率が高く、働きたくても仕事がないという状況が続いています。特に南欧諸国では、経済の低迷が続いており、企業が若者を雇う余裕がないケースが多いです。

2. 労働市場の硬直性

フランスやイタリアでは、正社員の雇用が手厚く保護されており、一度雇うと解雇が難しいため、企業が若者を採用しにくいという問題があります。これにより、特に新卒の若者が職を得るのが困難になり、結果的にニートが増加します。

3. 教育システムの問題

インドや中国などでは、大学を卒業しても適切な仕事が見つからないケースが多いです。特にインドでは、学歴があっても労働市場のニーズと合わず、職に就けない「学歴ニート」が増加しています。

4. 文化的要因

韓国や日本では、社会的プレッシャーが強く、厳しい就職活動の過程で挫折してしまう若者も少なくありません。特に韓国では、受験戦争や就職競争が激しく、一度失敗すると再挑戦が難しいという問題があります。


ニート率が低い国の特徴

反対に、ニート率が低い国には以下のような特徴があります。

1. 職業訓練が充実

ドイツでは「デュアルシステム」と呼ばれる職業教育が発達しており、大学に行かずとも専門技術を学びながら働ける制度が整っています。そのため、若者の就職率が高く、ニートになる割合が低く抑えられています。

2. 労働市場の柔軟性

アメリカやイギリスでは、雇用の流動性が高く、転職がしやすい環境が整っています。そのため、職を失っても比較的短期間で新たな仕事を見つけやすく、ニート状態に陥る期間が短くなります。

3. 社会保障と支援制度の充実

北欧諸国(スウェーデンやノルウェーなど)では、政府が積極的に若者の就職支援を行っており、無料の職業訓練やカウンセリングが提供されています。その結果、若者がスムーズに社会へ移行できる仕組みが整っています。


日本のニート問題とその対策

日本のニート率は10.5%と、他の国と比べると低めですが、それでも約10人に1人はニート状態にあることになります。日本のニート問題の背景には、以下のような要因があります。

1. 新卒一括採用の影響

日本では新卒一括採用が一般的であり、就職のタイミングを逃すと正社員としての職を得るのが難しくなる傾向があります。そのため、一度就職活動に失敗すると、再チャレンジしづらい状況が生まれています。

2. 引きこもり問題

日本では、ニートの中でも特に引きこもりの若者が多いことが指摘されています。社会との関わりが希薄になり、一度ニート状態になると抜け出すのが難しくなるケースも多いです。

3. 支援制度の活用が不十分

ハローワークやジョブトレーニングなど、ニート支援の制度は存在するものの、実際に利用する若者が少ないという課題があります。特に心理的なハードルが高く、支援を求めること自体に抵抗を感じる若者も多いようです。


まとめ:ニート問題への対策は?

世界各国のデータを見ると、ニートの割合は経済状況や文化、労働市場の仕組みによって大きく異なることがわかります。

ニート率が高い国(イタリア、スペイン、インドなど)では、経済不況や労働市場の硬直性が問題となっています。
ニート率が低い国(ドイツ、アメリカ、北欧など)では、職業訓練や柔軟な雇用制度が整っており、若者が仕事を得やすい環境があります。
日本のニート問題は、新卒一括採用や引きこもりの問題と深く関連しており、支援制度の活用が課題となっています。

今後、日本でもドイツのような職業訓練制度を充実させたり、就職の多様化を進めることで、ニートの割合を減らすことができるかもしれません。若者が社会に出やすい環境を整えることが、今後の大きな課題となるでしょう。

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